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最新研究:猫のゴロゴロ音が人間のストレス軽減に効果的と判明——「20分間で血圧が有意に低下」

東京大学と麻布大学の共同研究チームが、猫の喉鳴らし音(パリング)が人間の自律神経に与える影響を初めて定量的に実証。

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膝の上で寛ぐ猫
実験では、被験者の膝の上で猫がゴロゴロ音を出している状態で各種の生体データを計測した(イメージ写真)

「猫と一緒にいると癒される」——猫の飼い主なら誰もが感じていることだろう。だが、それが科学的に正しいのかどうかは、これまできちんと検証されてこなかった。

東京大学大学院農学生命科学研究科と麻布大学獣医学部の共同チームが、猫のゴロゴロ音(パリング)が人間のストレス反応に与える影響を調べた論文が、英科学誌「サイエンティフィック・リポーツ」の2月号に掲載された。結論から言えば、ゴロゴロ音を20分間聴いた被験者は、聴かなかったグループと比較して収縮期血圧が平均7.2mmHg低下し、唾液中のコルチゾール(ストレスホルモン)濃度も23%減少した。

実験の方法

研究チームは、20〜50代の健康な成人120名(男女各60名)を対象に実験を行った。被験者は3つのグループに分けられた。

A群(40名)は、膝の上に猫を乗せた状態で20分間過ごした。猫はいずれも人に慣れた保護猫で、膝に乗ると自然にゴロゴロ音を出した。B群(40名)は、録音されたゴロゴロ音をヘッドフォンで20分間聴いた。C群(40名)は、静かな部屋で何もせず20分間座った。

実験の前後で、血圧、心拍数、唾液コルチゾール、心拍変動(HRV)を計測。さらに、主観的なストレス度を10段階の自己評価で回答してもらった。

猫とリラックスする人
研究では実際の猫との接触が最も大きな効果を示した。

実際の猫が最も効果的

結果は明確だった。A群(実際の猫)は血圧が平均7.2mmHg低下、コルチゾールが23%減少、主観ストレス度は10段階中3.1ポイント改善。B群(録音)も血圧4.8mmHg低下、コルチゾール14%減少と有意な効果が見られたが、A群には及ばなかった。C群(安静のみ)は血圧1.3mmHg低下、コルチゾール変化なしだった。

研究を主導した東京大学の野村浩二准教授は「音だけでなく、猫の体温や毛並みの触感、重みといった複合的な刺激が、副交感神経の活性化に寄与していると考えられます」と説明する。

特に興味深いのは心拍変動(HRV)のデータだ。A群では、副交感神経が優位であることを示す高周波成分が38%増加しており、「リラックスしているが眠ってはいない」という理想的な休息状態に近づいていたことが分かった。

「猫を飼っている人は『うちの猫がゴロゴロ言うと安心する』とよく言いますが、それは気のせいではなく、自律神経レベルで実際に起きていることだと今回の実験で示せました」 —— 東京大学 野村浩二 准教授

ゴロゴロ音の周波数に秘密が

猫のゴロゴロ音は通常25〜50ヘルツの低周波で、これは人間の骨密度の回復を促進するとされる周波数帯と重なる。野村准教授は「低周波の振動が人体に与える影響はまだ十分に研究されていないが、過去の研究では25〜50ヘルツの振動が骨折の治癒を早めたり、筋肉の回復を促進したりする効果が報告されている」と指摘する。

共同研究者の麻布大学・太田洋子教授(動物行動学)は、猫側の視点も加えた。「猫がゴロゴロ音を出すのは、リラックスしている時だけではありません。痛みを感じている時や不安な時にも出すことがある。自己治療的な側面があるという説もある。つまり、猫自身にとっても意味のある行動なんです」。

「猫セラピー」の可能性

今回の研究結果を受けて、研究チームは今後、高血圧患者や不安障害のある被験者を対象とした臨床試験を計画している。動物介在療法(アニマルセラピー)としての猫の活用は犬に比べて遅れているが、野村准教授は「猫は犬と違って静かで場所を取らない。病院の個室や高齢者施設の居室での活用が考えられる」と期待を語る。

ただし、猫アレルギーの問題があるため、B群で効果が確認された「録音ゴロゴロ音」の活用も並行して研究を進めるという。「スマートフォンのアプリで手軽に聴けるようにして、通勤中や就寝前のストレス軽減に役立ててもらうことも視野に入れています」と野村准教授。

SNS上では「猫が正式に薬として認められる日が来るのか」「これで堂々と『猫が必要なんです』と言える」といった反応が相次いでいる。科学が、猫好きの直感を証明した格好だ。